- 2024年11月22日
- 2024年11月27日
性嗜好の障害について
渋谷神泉こころのクリニックです。
最近、いわゆる痴漢、盗撮、下着窃盗などの発覚後、弁護士などの支援者から精神疾患の可能性を指摘され、当院を受診される方が増えてきています。
こうした行為を主体とする精神疾患は、世界保健機関(WHO)が定めた疾病・傷害・死因の統計分類である ICD-10(国際疾病分類第10版)では、性嗜好の障害に分類されています。
性嗜好の障害は、分類上も厳密には依存症と区別されており、社会的にも明確な被害者が存在する点で、一般的な依存症と異なります。要するに、性犯罪としての側面があるということです。この点、加害者であることについては、真摯な反省が求められます。
さて、こうした性嗜好の障害と思われる方が受診を勧められる理由の一つに、治療計画書の作成が挙げられます。というのは、性犯罪行為に至った背景に何らかの精神疾患があり、それに対する受療の意思がある場合は、減刑されることがあり得るからです。もちろん、当院としては、あくまでも受診者を支援する立場をとっておりますので、妥当と思われる場合には治療計画書も適宜作成しております。
とはいえ、中には、不起訴になった瞬間に受療を中断し、治療計画(治療契約)を反故にされる方もいらっしゃいます。基本的に性嗜好の障害には、完治は困難なところがあるため、再発(再犯)可能性も高いと思われます。減刑のみを目的に治療計画書を提出し、その後、受療を自己判断で中断された場合、再発(再犯)時には反省や受療の意思がないものとみなされてしまいます。
また、受療の状況についても、捜査関係事項照会書などで警察機関からの照会を受けることは珍しくありません(なお、捜査関係事項照会については、みだりに照会に関する事項を漏らさないこととされていますので、当院では照会の有無も含めて、関連事項は御本人にお伝えしないこととしております。)。
それですので、治療計画書を作成するからには、そのとおりに受療を継続し、今後の回復につなげていただければと思います。
まずは一度お気軽に御相談ください。
それでは、また!