• 2024年7月22日

若者の「孤独死」について

 渋谷神泉こころのクリニックです。

 本日、令和6年7月22日(月)の産経新聞によると、平成30年~令和2年の3年間で、東京都23区内で「孤独死」した若者(10歳台~30歳台)が742人確認されたそうです。

 「孤独死」に関する法律上の定義はありませんが、監察医務院は「自殺や死因不詳などの異状死のうち、自宅で死亡した1人暮らしの人」としています。

 同時期の職場や路上などを含めた若者の異状死は1145人で、このうちの約65%が「孤独死」ということになるそうです。

 また、こうした「孤独死」の40%超が、死亡してから発見されるまでに4日以上かかっているそうです。 

 監察医務院は、孤独死の死因別の統計は取っていませんが、742人の多くは自殺とみられているようであり、単独世帯化が進む現在において深刻な問題です。

 背景には、「セルフネグレクト(自己放任)」に陥っている若者の存在が指摘されていますが、対策は容易ではありません。特に就職を契機に都市部に転住した若者は、居住地域内での人脈や居場所に乏しいため、仕事でうまくいかなくなると、急速に社会との接点が断たれ、生活構造も不安定になる危険があります。

 このような場合、まずは遠方であっても御家族や御友人に御相談いただくことをお勧めします。相談できる方がいらっしゃらない場合は、心療内科や精神科などの医療機関も良いでしょう。他者への相談そのものが、自身の状況を相対化し、客観視する機会になるからです。

 お一人で抱え込むと、どうしても問題を悲観的、絶望的にとらえがちになり、心理的な視野狭窄から極端な「解決」を図ることにもなりかねません。

 昨今、都市部で増加が著しいシェアハウスも、家族や寮などに疑似的なところでは入居者間の交流もあるのでしょうが、そうでないところでは、かえって社会からの疎外感を強く感じてしまう可能性もあると思います。

 そういえば、「幽☆遊☆白書」のアニメ主題歌である「微笑みの爆弾」で、「都会(まち)の人ごみ 肩がぶつかって ひとりぼっち 果てない草原 風がビュンビュンと ひとりぼっち どっちだろう 泣きたくなる場所は」という歌詞がありました。広大な空間に一人でいることよりも、多くの人に囲まれながらも情緒的な交流が全くないことの方が、孤立や寂寥が強調される場合もあり得るということでしょう。

 お困りの際には、当院にも是非お気軽に御相談いただければと思います。

 それでは、また!

渋谷神泉こころのクリニック
精神科・心療内科
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