• 2025年2月20日

適応障害について

 渋谷神泉こころのクリニックです。

 精神科を受診した際に、適応障害と診断される方は多いのではないかと思います。

 適応障害は、心理社会的なストレス因子に対する短期間の不適応反応のことで、そうした点からは他の多くの精神疾患と異なり、原因が明確な(因果関係を内包した)疾患概念であると言えます。

 アメリカ精神医学会による「精神障害の診断・統計マニュアル第5版」(DSM-5)での診断基準は、以下のとおりです。

【診断基準】
A. はっきりと確認できるストレス因子に反応して、そのストレス因子の始まりから3ヶ月以内に情緒面または行動面の症状が出現
B. これらの症状や行動は臨床的に意味のあるもので、それは以下のうち1つまたは両方の証拠がある。
 (1) そのストレス因子に暴露されたときに予想されるものをはるかに超えた苦痛
 (2) 社会的または職業的(学業上の)機能の著しい障害
C. ストレス関連性障害は他の精神疾患の基準を満たしていないし、すでに存在している精神疾患の単なる悪化でもない。
D. その症状は正常の死別反応を示すものではない。
E. そのストレス因、またはその結果がひとたび終結すると、症状がその後さらに6か月以上持続することはない。

 適応障害の症状は、神経発達特性、生育歴、状況などによって多種多様ですが、主には以下のように大別されます。

 精神面の症状;憂鬱、涙もろさ、意欲低下、緊張、易怒性、恐怖など
 身体面の症状;動悸、頭痛、めまい、倦怠感、腰背部痛、感冒様症状、腹痛など
 行動面の症状;アルコールやタバコの消費量増加、ストレス因に関連する場所の回避など

 一見すると、明確なストレス因の存在と、症状との時間的関連から、簡単に診断できるように思えるかもしれません。しかし、実際には、軽度のうつ病が先行していて、(本来であれば対処可能な範囲内にあった)ストレス因によって症状が顕在化したという可能性もあり、環境調整や薬物治療への経時的な反応をみないと鑑別できない例も少なくありません。

 お悩みの方は、まずは一度、精神科や心療内科で御相談されると良いかと思います。

 参考になれば幸いです。

 それでは、また!

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