• 2025年5月30日

発達障害(神経発達症)について③

 渋谷神泉こころのクリニックです。

 発達障害にも専門家や学術団体ごとにいろいろな細分類や下位分類があります。また、最近では自閉スペクトラム症などのように、さまざまな要素ごとの濃淡をもって、いわゆる「定型発達」と連続するものとしてとらえる考え方も主流になってきました。そのため、発達特性とは、下図のようなレーダーチャート上の各人固有の凹凸であり、発達障害とは、これらによる支障を生じている場合とすると、分かりやすいと思います。

 発達特性はさまざまですが、発達障害とされる方でよく指摘される特徴の一つは、「マルチタスクの不得手」です。誰しもマルチタスク(複数課題の同時並行)は苦手なものですが、発達障害を疑われる方には、これが極端な傾向があります。WAIS-Ⅳという知能検査では、ワーキングメモリーという項目で評価される能力で、発達障害と診断される方の検査結果をみると、実際に他の項目に比して、このワーキングメモリーの得点が目立って低いことが多いです。この場合、あることをしている間に、その前に一時的に中断した作業を忘れてしまったり、全体の流れを忘れて部分的な作業に没入したりして、結果として課題を期待どおりにこなせないという結果になりがちです。

 そのため、こうした方への支援としては、課題をなるべく「シングルタスク」として提示することが有効です。

 こうしたやり方は、いわゆる「定型発達」の方でも作業効率が上がります。そのため、発達特性によらず、普段から仕事をこのように分解して再構成する習慣をつけておくのも良いかと思います。

 参考になれば幸いです。

 それでは、また!

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精神科・心療内科
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