• 2024年7月11日

熱中症について②

 渋谷神泉こころのクリニックです。

 熱中症の危険性を評価する指標の一つに、暑さ指数というものがあります。暑さ指数は、Wet-Bulb Globe Temperature(湿球黒球温度)の略称として、WBGT とも表記されます。これは、下記の装置による3種類の測定値(乾球温度、湿球温度及び黒球温度)をもとに算出された指標です。

●乾球温度(NDB:Natural Dry Bulb temperature)は、通常の温度計を用いて、そのまま観測された温度です。

●湿球温度(NWB:Natural Wet Bulb temperature)は、水で湿らせたガーゼを温度計の球部に巻いて観測された温度です。温度計の表面にある水分が蒸発すると、その際に気化熱が奪われ、温度計は冷却されます。その冷却熱と平衡した時の温度が湿球温度です。空気が乾燥するほど、水分が蒸発しやすく、温度計が冷却されやすくなりますので、気温(乾球温度)との差が大きくなります。つまり、皮膚の汗が蒸発する時に感じる涼しさ度合いを表します。

●黒球温度(GT:Globe Temperature)は、黒色に塗装された薄い銅板の球(中は空洞、直径約15cm)の中心で観測された温度です。黒球の表面はほとんど反射しない塗料が塗られており、太陽光や地面からの照り返しなどの高温物体から直接・間接に受ける放射熱(輻射熱)を吸収します。黒球温度は、直射日光にさらされた状態での球の中の平衡温度を観測しており、弱風時の日なたにおける体感温度と創刊します。

 これらを用いて、屋外と屋内で少し異なりますが、以下のように暑さ指数が算出されます。

 暑さ指数、あるいは、湿度などを考慮しない単純な気温(乾球温度)と、生活活動の強度などとの関連は以下のとおりです。

 わが国の夏は高温多湿ですので、汗をかいてもなかなか乾かず(;蒸発の際の気化熱による冷却が期待できず)、同温の乾燥地域よりも体内に熱がこもりやすくなります。

 毎年、6月から9月にかけては熱中症での救急搬送が 5~6万件あり、100名程度の死亡者が発生していますので、熱中症予防の意識は非常に大切です。

 参考になれば幸いです。

 それでは、また!

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