• 2024年8月8日

睡眠解析と宿泊について

 渋谷神泉こころのクリニックです。

 2024年8月8日(木)の朝日新聞の記事で知りましたが、株式会社NTTデータグループが、自社ビルであるアレア品川ビル(東京都港区港南1丁目9番36号(JR品川駅港区港南口直結))の1階で、8月9日に睡眠解析を実施できるカプセルホテル「ナインアワーズ品川駅スリープラボ for men」を開業するそうです。

 このホテルでは、宿泊客の同意下に、赤外線カメラ、集音マイク、体動センサーを用いて睡眠データの取得・蓄積・解析を行うとのことです。これにより、宿泊客の睡眠時間、寝返りの頻度、無呼吸の回数、いびきの音量などを測定でき、そのデータも宿泊客に後日報告書として送付されるようです。

 写真からはそれほど特殊なカプセルのように見えませんが、奥の壁面には赤外線カメラと収音マイクがあり、床面には体動を感知するセンサーが設置されているそうです。私も若い頃には出張時などにカプセルホテルを利用していましたが、当時と異なり、上下のカプセルが交互に配置されているところに感動しました。たしかに、この配置であれば上のカプセルへの梯子から真っ直ぐ中に入れますね。

 さて、世の中で意外と見逃されがちな疾患として、睡眠時無呼吸症候群が挙げられます(有病率は男性で約5%、女性で約3%程度とされています。)。

 睡眠時無呼吸症候群では、気道の閉塞によって睡眠中に何回も呼吸が止まります(厳密には軌道の閉塞ではなく、呼吸中枢の異常によるものもありますが、割愛します。)。一晩に30回以上、あるいは、1時間あたりに5回以上の無呼吸(10秒以上の呼吸停止)がある場合に睡眠時無呼吸症候群と診断されます。また、呼吸は停止していなくとも、いびきがひどい場合は気流(呼吸)が十分でない可能性があり、これは低呼吸とされます(厳密には酸素飽和度なども測定した上で判定されます。)。

 成人の呼吸数は1分あたり12~20回、つまり、1回の呼吸は3~5秒でなされるわけですから、10秒以上の呼吸停止は深刻な状態であると言えます。実際に呼吸を止めてみるとわかりますが、30秒前後からかなり苦しくなってしまいます。これが何度も睡眠中に起こると、そのたびに身体は覚醒状態になり、血圧や血糖値も急激に上昇します。そのため、熟眠感が得られないだけでなく、全身のさまざまな合併症も引き起こします。

 また、夜間に十分な睡眠をとれないことから、日中にも眠気が遷延し、自動車の運転中に寝てしまって重大な事故につながるケースも散見されます。

 当院でも簡易検査はできますが、やはり、多忙な方にとっては医療機関の受診は敷居が高いものです。

 それですので、出張時などにこうしたカプセルホテルで睡眠時無呼吸の可能性などを評価できる機会が得られることは、非常に有意義であると思います。

 睡眠時無呼吸の可能性を心配されている男性の方は、一度御利用されてみてはいかがでしょうか。
(※)女性の方は、「ナインアワーズ赤坂 スリープラボ」で睡眠解析を受けられるようです。

 当院でも簡易検査には対応しておりますので、お気軽に御相談いただければと思います。

 それでは、また!

渋谷神泉こころのクリニック
精神科・心療内科
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