- 2025年12月15日
自動車運転処罰法と飲酒について
渋谷神泉こころのクリニックです。
令和7年12月9日に、自動車運転処罰法(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律)の危険運転致死傷罪の要件を見直す法制審議会(法相の諮問機関)の部会が開かれ、飲酒と高速度の数値基準の試案が示されました。
現行法では、高速度は「進行制御が困難」、飲酒は「正常な運転が困難」とされており、危険運転致死傷罪適用の明確な基準がありません。そのため、悪質な事案でも(危険運転致死傷罪よりも法定刑として軽い)過失運転致死傷罪が適用されることがありました。

今回の試案で、危険運転致死傷罪適用に向けて、高速度と飲酒に関する数値的な基準が以下のように提示されました。
高速度の数値基準;制限速度60 km/時超の高速道路などでは 60 km/時、それ以下の道路では 50 km/時をそれぞれ超過した場合。
飲酒の数値基準;呼気で 0.5 mg/L 、血液で 1 mg/mL 以上が検出された場合。
高速度に関しては、運転経験がある方でしたら、危険度も直感できると思います。一方で、アルコールの呼気濃度は、飲酒量や酩酊度との関係がよくわからない方が多いと思いますので、以下の表にまとめてみました。簡単に言えば、日本酒1合、ビール500 mlでも飲酒運転になるということですが、もちろん、それ未満であれば良いというわけではないので、御留意ください(高速度についても、飲酒についても、数値基準が甘いという批判も多いです。)。

飲酒量は、飲んだお酒に含まれる純アルコール量を基準として考えます。1日の適正飲酒量の目安は、男性では純アルコール20g程度まで、女性では10g程度ですが、この範囲内でも連日の飲酒は(耐性形成から長期的には飲酒量の漸増が予想されるため)好ましくありません。新宿区のホームページの解説がわかりやすいので、気になる方は御参照ください(以下の図も引用の上、分解時間の目安も追記させていただきました。)。

厚生労働省のホームページには、アルコールウォッチという飲酒量から純アルコール量と分解時間を計算するツールがあります。こちらも酒席の際などにお試しいただければと思います。
参考になれば幸いです。
それでは、また!
