• 2024年7月17日

「考える侍」とミラクルひかるから学ぶこと

 渋谷神泉こころのクリニックです。

 新千円札にも描かれた葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」、これを題材にした漫画で思い出すのが、山田芳裕氏の「考える侍」という作品です。

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 時は江戸時代、主人公は富嶽十蔵という哲学的な侍です。作中「其の七 麓富士」では、その富嶽十蔵が若き葛飾北斎と邂逅する場面が描かれます。葛飾北斎から富嶽三十六景の素描を見せられた主人公は、その写実的な素描を目にし、「絵は所詮絵だ!直に目で見る存在には勝てん!」としながらも、「在ることの二乗を描けば、事実に匹敵す!」と喝破し、「神奈川沖浪裏」の素描に有名な「グレートウェーブ」を描き足します。

 さらに、「在ることの二乗——の在ることを描けば!!事実を越ゆ!!」とし、富士の山腹のみを描き、山麓の広さと山頂の高さを実物以上のスケールで想像させる技法を提示します。

 実際には葛飾北斎が富嶽三十六景の制作を始めたのは70歳台ですので、史実とは異なりますが、なかなか示唆に富んだやり取りです。私ももっと早くこの考え方に触れていれば、小中学校での写生大会などに活用できたのですが……。

 高度なモノマネを得意とするミラクルひかる氏も、「本物の特徴を誇張するデフォルメが、モノマネの一番のコツである」というようなことを仰っていましたし、いろいろと参考になる考え方ですね。

 それでは、また!

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