• 2026年3月14日
  • 2026年3月13日

盗撮の再犯防止について

 渋谷神泉こころのクリニックです。

 当院では、盗撮などの問題行動について御相談を受けることがあります。多くの場合は、事件発覚後に弁護士から受診を勧められて来院されますが、中には「このままでは問題を起こしてしまうかもしれない」と感じて、自主的に受診される方もいらっしゃいます。

 盗撮は、当然ながら被害者を生む犯罪行為です。しかし一方で、行為を繰り返してしまう方の中には、「やめたいと思っているのにやめられない」、「衝動を抑えられない」と悩んでいる方も少なくありません。

 こうした行動が反復される背景には、衝動性やストレス、孤立感など、さまざまな心理的要因が関係していることがあります。そのため、再犯防止のためには、単に「我慢する」だけではなく、行動のパターンや心理的背景を整理し、再発を防ぐための工夫を積み重ねていくことが重要になります。

 再犯防止の取り組みとしては、いくつかの視点があります。

 一つ目は、行動のきっかけを減らすことです。
 盗撮事案の多くは、駅構内や商業施設のエスカレーターなどで、スマートフォンを用いて行われるとされています。そのため、こうした場所ではスマートフォンを鞄から出さないようにする、取り出してもすぐに撮影できないようにレンズにシールを貼る、といった工夫が有効な場合があります。
 また、スマートフォンケースの中には、開閉式のカバーが付いた製品もあり、物理的にカメラ部分を覆う形になるため、撮影行為そのものを抑制する工夫として利用できる場合があります。

 これは、行動の実行までの手間を増やすことで問題行動を起こしにくくする方法で、「行動コスト」を高める工夫とも言えます。

 二つ目は、代替となる行動を用意することです。
 例えば通勤・通学の電車内では、スマートフォンを漫然と操作するのではなく、本を読むなど別の行動を習慣化することで、衝動的な行動を起こしにくくすることができます。
このように別の行動を定着させる方法は、「代替行動」と呼ばれます。特に、問題行動と同時に行えない行動は「対立行動」と呼ばれます。
 紙媒体での読書は、同時にスマートフォンを操作することが難しいため、このような対立行動として有効な方法の一つだと思います。

 三つ目は、心理的な背景を理解することです。
 問題行動の背後には、ストレスや孤立感、自己評価の低さなどが関係していることもあります。こうした背景を整理し、衝動が強くなる状況やパターンを理解することも、再犯防止のためには重要です。

 医療機関では、こうした点を踏まえながら、衝動コントロールの方法や再発防止のための行動調整について検討していきます。必要に応じて、薬物療法や自助グループなどを併用することもあります。

 問題を抱えながら一人で悩み続けるよりも、早い段階で相談することで、行動のコントロールや再発防止につながる場合があります。

 当院でも、こうした再犯防止の観点からの御相談を受けておりますので、お悩みの方はお気軽に御相談ください。

 参考になれば幸いです。

 それでは、また!

(※)米軍MIL規格(United States Military Standard)とは、一般的にアメリカ軍が必要とする様々な物資の調達に用いられる規格の総称で、MILスペックとも呼ばれます。
 スマートフォンケースの中にも、この米軍MIL規格に適合した製品があります。一般的には、約1.2mの高さから合計26方向で落下させるなどの試験を行い、ケースだけでなくスマートフォン本体にひび割れや傷が発生しないかを確認しているようです。
 私自身は、てっきり防弾仕様のようなものなのかと思っており、漫画のように、胸ポケットに入れていたスマートフォンケースが銃弾を防いで助かる、という展開もあり得るのではないかと想像していました。しかし、さすがにそこまでの性能を想定したものではないようです。

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