- 2025年4月15日
盗撮発覚後の流れと受療に関する注意点
渋谷神泉こころのクリニックです。
最近、盗撮関連の受診が増えてきました。たいていは、発覚後に弁護士から勧められての受診ですが、稀に自主的に(発覚前に)受診される方もいらっしゃいます。今回は、こうした方も含め、盗撮が発覚した場合の流れを概説します。
1.被害の発覚;以下のように発覚します。
・被害者が気づく。
・周囲の第三者が目撃する。
・セキュリティカメラ等で発見される。
・加害者の端末やクラウドから画像や動画が見つかる。
2.通報・警察の介入
被害者や発見者が警察に通報したり、駅員や施設管理者に報告したりすることで、警察官が現場に駆けつけます。その際に、盗撮機器(スマートフォン、カメラ等)の押収・確認が行われます。加害者がその場で逮捕されることもあります(鉄道警察隊による現行犯逮捕が多いようです。)。
3.警察による取調べ
被疑者は警察署に連行され、取調べを受けます。その際にスマートフォンやカメラなどのデバイスも解析され、盗撮データの有無が確認されます。自白や証拠によっては、検察に送致されます(「身柄送検」または「書類送検」)。検察では、起訴するかどうかを判断されます。初犯であったり、十分な反省の下で示談が成立していたりする場合は、不起訴になることもあります。しかし、常習性や悪質性がある場合には起訴され、裁判に進むことになります。

以上が、盗撮発覚後の大まかな流れです。多くの方は、取調後に弁護士を介して、被害者との示談交渉や、検察官や裁判官に意見書を提出したりし、不起訴や執行猶予付きの判決を目指すようです。盗撮行為が精神的な病気に起因していると思われる場合には、精神科への受診を勧められることもあります。この場合、医療機関で作成された治療計画書や通院履歴証明書なども、意見書の参考資料として提出されます。
当院でもこうした書類の作成や、必要に応じて謝罪文や反省文の添削を行っております。ただし、こうした作業には相応の時間がかかります。そのため、提出直前ではなく、早期からの御相談をお勧めします。
なお、謝罪文や反省文の添削については、あくまでも御本人の記載した内容を、第三者が読んでも理解しやすいように整理するに過ぎません。治療の一環でもありますので、当院で創作するものではないこと、また、清書は御自身でしていただくことについての適切な御理解をお願いいたします。
中には、治療継続の必要性があると説明されているにもかかわらず、必要書類の作成や提出を済ませた後から、通院が断続的になる方もいらっしゃいます。医療機関では、裁判中や再犯時に、警察や検察などから捜査関係事項として、その後の通院履歴や状況の確認、再犯時の責任能力についての意見などを照会されることがあります。捜査関係事項照会は、個人情報保護法とのバランスや、プライバシー侵害の可能性について問題視されることもありますが、盗撮関係での照会事項については、そうした機微に触れる内容は多くありません。そのため、当院でも回答に応じることがほとんどですので、その点もあらかじめ御了承ください。
盗撮が発覚した場合、加害者には刑事・民事の両面で責任が問われる可能性があります。盗撮をやめられない方は、いたずらに被害者を増やす前にどなたかに御相談しましょう。
「盗撮をやめられない男たち」(斉藤章佳著、扶桑社、2021年)もお勧めです。
それでは、また!