• 2025年5月27日

発達障害(神経発達症)について①

 渋谷神泉こころのクリニックです。

 発達障害についての診療の可否をお問い合わせいただくことも多いですので、概説したいと思います。

 まず、発達障害とは、さまざまな脳機能障害の組合わせによって類型化されたものの集合です。そのため、障害の種類や程度もひとそれぞれであり、実際のところ、明確な分類や診断が困難なことも多々あります。また、年齢や環境によっては、問題視される症状が異なることもあるため、受診時の年齢や状況によって診断が変遷することも珍しくありません。

 2005(平成17)年に施行された発達障害者支援法第二条では、発達障害は「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義されています。厚生労働省のHPで例示されている下図からも、発達障害という概念そのものが多様で、かつ、複数の障害が重複し得ることが示されています。

 臨床上、特に重要な点は、これらの障害が「脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」という点です。つまり、発達障害とは、生来的な脳機能の特性や偏倚であると考えられる点です。つまり、本人の自助努力によって改善しにくいところが多々含まれるということです。

 そのため、生活上のさまざまな齟齬に対しては、本人の生来的に不得手な部分の改善を求めるよりも、それが不利に働かないような生活の環境や構造をつくっていく方が望ましいと思います。

 発達特性や脳機能の要素も多種多様ですが、その一部を下図のようなレーダーチャートでとらえたとき、青い部分を拡大するという自助努力よりも、赤い部分を青い部分に収まるように再構成する環境調整の方が、支援として有効であるということです。

 最近は、発達障害も一般に知られるようになってきており、政府広報オンラインによる発達障害って、なんだろう? でもわかりやすく解説されていますね。

 なお、最近は「障害」という表現が忌避される傾向が強く、発達障害よりも神経発達症の呼称の方が一般的になりつつありますね。

 参考になれば幸いです。

 それでは、また!

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精神科・心療内科
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