• 2025年11月21日

盗撮発覚後の刑事手続きの流れ

 渋谷神泉こころのクリニックです。

 最近は盗撮発覚後に受診される方が多く、中には弁護士への御依頼がなく、刑事手続きの流れがよくわからないという方もいらっしゃいます。そのため、今回は刑事手続きについてまとめてみました。

 刑事手続きとは、犯罪の真相を明らかにし、犯人に適正な刑罰を科すための一連の手続きです。主な段階は「捜査」、「起訴」、「公判」の3つに分かれます。

①捜査;犯罪の事実を明らかにし、犯人を特定するために行われます。警察が被疑者の逮捕や証拠収集などを行い、事件を検察庁に送ります。捜査の形式は、「任意捜査」と「強制捜査」に大別されます。
②起訴;検察官が捜査で集められた証拠を検討し、裁判にかけるかどうか(起訴するかどうか)を決定します。起訴には、法廷で争う「公判請求」と、書類審査で罰金などを求める「略式請求」があります。
③公判;起訴された事件について、裁判所が証拠に基づいて審理し、有罪か無罪か、有罪の場合はどのような刑罰を科すかを決定します。裁判官が検察官と弁護人の主張を聞き、判決を言い渡します。判決が確定した後は、検察官が刑の執行を指揮します。

 盗撮の発覚後、駅員、警備員、警察官などから事情を聴取され、警察署に「任意同行」した場合、その日のうちに帰宅となることもあります。これは、刑事手続きの中でいうと「捜査」の段階であり、その形式は 「任意捜査」 になります。任意捜査とは、逮捕や勾留などの強制的な手段を用いずに、本人の任意(承諾)による協力下に行われる捜査です。「強制捜査」と異なり、裁判所の令状は不要です。任意捜査の具体的な手段としては、事情聴取、聞込み、張込み、任意出頭の要請、照会などが挙げられます。

 「逃亡や証拠隠滅の恐れがない」と判断されれば、強制的な身柄拘束(逮捕)を行う必要がないため、任意捜査になります。これは、「逮捕されてはいないものの、犯罪の疑いは残っている状態」です。ただし、この段階で「事件化」されている(書類送検を視野に入れられている)ことがほとんどです。

 任意捜査の場合、後日呼出し(取調べ)は、「押収した撮影機器や記録媒体などの解析が終わった」、「被害者の供述がまとまった」、「書類を検察に送るため、供述調書を作成する必要がある」などのタイミングで行われます。この時点での扱いは、「在宅捜査中の被疑者(逮捕されていないが、容疑者として捜査対象である者)」です。

 取調後、警察によってまとめられた資料(事件書類と証拠)は、検察に送られます(書類送検)。

 検察官は、送付された資料の内容を確認し、不起訴(軽度、示談済みの場合など)、略式命令(罰金)、起訴(正式裁判)のいずれかを判断します。不起訴でない場合は、罰金刑であっても前科(犯罪経歴)がつくことになります。

 参考になれば幸いです。

 それでは、また!

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