• 2024年5月9日

認知症の予防について

 渋谷神泉こころのクリニックです。

 本日はどの新聞も、厚生労働省が5月8日に公表した認知症患者数に関する推計を、一面で取り上げていました。

 公表によると、65歳以上の高齢者がピークを迎える2040年に高齢の認知症患者が584万人に上るとのことです。以前の推計(2012年のデータを用いたもの)では、2040年に802万人に達するとされていたため、大幅に減少する見込みです。

 認知症にもさまざまな種類があり、四大認知症とされているのは下図のとおりです。

 この四大認知症の中で、脳血管性認知症が、65歳未満で約4割、65歳以上で約2割を占めています。

 脳血管性認知症の多くは、生活習慣病を基盤とする脳出血や脳梗塞によって生じます(一部、脳血管の奇形や手術の際のアクシデントなどによるものもあります。)。

 他の認知症に比べて、脳血管性認知症は生活習慣の改善により、かなり予防できると思われます。

 今回の推計で認知症患者数が従来よりも低く見積もられたことからは、わが国全体で生活習慣の改善が進んでいることが示唆されますが、これは主に脳血管性認知症の予防を見越した結果だと思います。

 高血圧症、脂質異常症、糖尿病など、生活習慣病の恐いところは、全身の血管を破れやすく、あるいは、詰まりやすくなるように劣化させることです。

 明らかな脳出血や脳梗塞の症状がなくとも、無症候性の微小な脳梗塞が多く蓄積した結果、認知機能が徐々に低下する場合もあり、経過としてはアルツハイマー型と区別しにくい脳血管性認知症もあります。

 脳血管性認知症が心配な方は、ぜひ脳ドック(;頭部MRIで無症候性脳梗塞の有無などを確認)、頸動脈エコー(;動脈硬化の程度などを評価)などを受けた上で、生活習慣を見直していただくことをお勧めします。

 どのような生活習慣が望ましいのかは、当ブログでも解説していきたいと思いますが、もちろん、受診の際に御相談いただいても結構です。

 それでは、また!

渋谷神泉こころのクリニック
精神科・心療内科
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