- 2024年5月21日
- 2024年5月29日
依存症について③
渋谷神泉こころのクリニックです。
依存症の機序(どのように発症するのか)や病態生理(依存症があることによる心身や生活の状態)を説明する理論の一つに、「自己治療仮説」というものがあります。
カンツィアンという米国の精神科医が提唱した考え方で、松本俊彦氏の訳による「人はなぜ依存症になるのか 自己治療としてのアディクション」に丁寧にまとめられています。
人はなぜ依存症になるのか 自己治療としてのアディクション | エドワード・J・カンツィアン, マーク・J・アルバニーズ, 松本 俊彦 |本 | 通販 | Amazon
依存症を必要とした背景に注目する点は精神分析的、依存症によって得られる何らかの機能に注目する点は行動分析的で、支援者の姿勢に注目している点は来談者中心療法の影響もありそうです。「自己治療仮説」には、既存のさまざまな理論も統合されているといえます。
さて、同書には、「自己治療仮設はその多くを精神力動的、精神分析的な観点にもとづく臨床実践に拠って」いるとあります。
精神力動的、精神分析的な観点とは、要するに「過去のつらい感情や記憶を無意識下に抑圧していると、それによってさまざまな精神症状を呈する」というような考え方です。「寝椅子を用いて高頻度に行う」などの一定の基準を満たすものが精神分析的精神療法、簡略化されたものが力動的精神療法とされていますが、両者の基本的な観点は共通です。
(※)あくまでも一般の方に向けた簡単な説明ですので、精神分析の専門家の方には御寛容をお願いできればと思います(;^_^A
同書ではまた、「ほとんどの依存症の根底には、たとえそれが精神障害によるものであろうとなかろうと、人間が抱える苦悩や精神的苦痛が存在する」とも述べられております。
当院もこうした姿勢で診療に取り組んでおりますので、何かお悩みの際にはぜひお気軽に御相談ください。
同書の主張の一部も、以下にまとめてみましたので、御参考になれば幸いです。
それでは、また!