- 2024年5月24日
休職について
渋谷神泉こころのクリニックです。
当院は、渋谷駅周辺の繁華街から、南平台や青葉台などのオフィス街の移行部に位置しております。
そのためか、受診される患者様のお悩みも、職場のストレスに関連したものが多く見受けられます。要するに休職すべきかどうかの御相談が多いということです。
心身に何らかの症状があるとは言え、原因が職場のストレスにあることが自明の場合、精神科・心療内科の受診で得られるものはあるのでしょうか。答えは、もちろん「イエス」です。
今回は、職場のストレスでお悩みの場合に、当院でお力になれそうなことを御紹介いたします。
第一に、考えを整理できることです。
第三者に問題の経緯や状況を説明することそのものが、問題の客観視につながり、結果的により多くの視点や選択肢が得られます。
第二に、鑑別診断を受けられることです。
職場のストレスが原因のように思われても、実際にはうつ病などの精神疾患が先行(潜行?)しており、そのせいで普段なら対処できる問題に取り組めなくなっている例もあります。さまざまな可能性を評価できる点が、受診のメリットです。
第三に、予防的な介入を受けられることです。
本日(2024年5月24日(金))の朝日新聞で、多忙と重責から心身の疲労が蓄積し、うつ病の診断下に休職した環境省の元職員の記事がありました。この職員は、復職後も思うように出勤できず、「環境省」という言葉を聞くだけで涙が止まらなくなり、最終的に退職されたとのことです。
このように、無理を重ね過ぎると、ある時点で一種のPTSD(心的外傷後ストレス障害)のようになる可能性があります。こうなると、その後は回復したように思えても、条件反射のように、当時を想起させる刺激で症状が再燃してしまいます。
自動車整備工場に勤める知人によると、「一度潰れた車体は、修理して元の形に戻したとしても、その強度は以前と同じではない。」とのことです。これは「心」も同様で、私は「ティッシュ箱」に置き換えて説明することが多いのですが、いずれにしても、回復後の再発リスクを軽減する視点が重要です。ただし、人の心には一定の復元力や回復力がありますので、絶望的になる必要はありません。
とはいえ、重症化する兆候がある場合など、早めに対策を講じられることも受診のメリットといえるでしょう。
第四に、休職する場合の診断書を御用意できることです。
多くの職場では、休職に際して「休職願」とともに「休職用診断書」を求められます。当院では、必要な場合、診断書はすぐに作成してお渡しするようにしております。
第五に、出口を見据えた薬物治療を受けられることです。
当院としては、対症的な薬物の併用も御希望に応じて適宜行いますすが、その際にも、処方が過剰にならないように、回復後に減量・中止しやすいように、その都度説明しながら調整いたします。
重症化する前に、少しだけ相談してみたいという理由での受診も問題ありません。
まずはお気軽に御相談いただければと思います。
それでは、また!