- 2024年5月27日
- 2024年5月28日
精神科・心療内科での初診時のカルテ記載
渋谷神泉こころのクリニックです。
精神科・心療内科を受診したいけれども、何を訊かれるのかが心配で躊躇してしまう、そんな方も多いと思います。そのため、今回はカルテ(診療録)上にどのようにお悩みをまとめているのかを解説しながら、診察の流れを解説したいと思います。
初診時は、基本的には病歴、診断、治療方針を総合的にまとめます。
ほとんどの大学病院では、「入院カンファ」などと称する、毎週の入院患者様の情報共有や事例検討の会があります。そこで、治療担当者が「入院サマリー」だとか「入院時病歴要約」などと呼ばれる資料を作成し、それをもとに他の医師の意見を仰ぎます。時々、「公開処刑」だとか「集団リンチ」と呼ばれる、執拗な質疑応答や治療担当者の人格否定などに発展することもあり、この雰囲気が入局希望者の多寡に影響することもあります。
それはともかく、当院でも初診時は、大学病院での「入院カンファ」用の資料に準じて、診療情報をまとめています。
その際の各項目や内容などは以下のとおりです。
【初診時主訴】何を問題として感じているか、当事者の愁訴をまとめている。
【既往歴】愁訴との関連及び治療上の制約の有無の確認。
【併存症】愁訴との関連及び治療上の制約の有無の確認。
【家族歴】遺伝的な関連の強い疾患や、今後発症し得る疾患などの確認。
【生活歴】家族構成、学歴、就労歴、生活基盤などを全般的に確認。それとともに、これまでの社会適応の様子を確認。
合わせて、飲酒、喫煙などの生活習慣や、アレルギーの有無も確認。
【現病歴】愁訴に関連する問題が、どのような状況下で、どのように顕在化していったのかを時系列に沿って記載。
【診断及び治療の方針】以下の順に記載。
①ショートサマリー。
②診断及びその根拠。
③治療の方針;さらに薬物調整をはじめとする生物学的な介入、本人の心性を考慮した精神療法的な介入、本人の発達特性を考慮した環境調整的な介入など。
④経過を観察する上での注意点。
診察時には、以上の情報をまとめられるように問診を進めていますが、形式的な意味合いが強い項目や、患者様が答えたくない部分などは、適宜省略しています。
診察そのものが御負担にならないように心がけておりますので、お気軽に御相談いただければと思います。
それでは、また!