- 2024年7月16日
介護職員不足について
渋谷神泉こころのクリニックです。
令和6年7月12日(金)、厚生労働省が第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数に関する推計を公表しました。
それによると、直近の2026年度には25万人、65歳以上の高齢者数がほぼピークになる2040年度には57万人の介護職員不足が見込まれるようです。
2018年度には、2025年度の介護職員不足数が約34万人と予測されていましたので、それよりは状況は改善されているようです。この改善の理由について、厚生労働省は、介護予防の取組みなどによる高齢者の自立度が向上したことなどを挙げています。とはいえ、それでも介護職員不足の問題は今後も続くことでしょう。高齢者数が増加する一方で、生産年齢人口は減少するため、どのようにそのギャップを埋めていくのかは、今後も課題であり続けると思います。
対策としては、介護業務の省人化、機械化、効率化などの関連技術革新や、高齢者の自立度を維持・向上させるための取組みをさらに進めていくことなどが有効でしょう。
特に骨格筋量を増やす取組みが大切で、これは小島央氏が当時のリハビリテーション環境の批判とともに、以下の著書で力説されています。
ひざ・股関節の痛みは週1スクワットで治せる! (“筋肉ドクター”が教える特効筋トレ) | 小島 央 |本 | 通販 | Amazon
そういえば、私が最近まで勤めていた病院でも、理学療法士によるリハビリテーションも導入されてはいたものの、院内の転倒件数などにはあまり改善がありませんでした。リハビリテーションの体系が脳卒中後を想定した神経回路の再構築を目的としたもので、フレイルやサルコペニアを想定した骨格筋量の増加を目的としたものではなかったためだと思います。
しかし、今回、介護職員必要数の予測が下方修正されたように、高齢者の自立度は徐々に向上しているようですし、そうなるだけの社会的・文化的な基盤も徐々に整ってきているようにも思います。
2018年度の予測と比較すると、今回の公表はそれなりに明るいニュースと言えるかもしれません。
それでは、また!