• 2025年4月14日

「美容内服セット」の御案内

 渋谷神泉こころのクリニックです。

 御要望がありましたので、シナール・ユベラ・トランサミンからなる「美容内服セット」を自費診療として御用意いたしました。
 価格は、当院に精神疾患で通院中の患者様の場合、30日分で4,400円です。
 一日の内服量は以下のとおりで、これを1日2回に分けて内服します。

 さて、私たちの皮膚は、表皮、真皮、皮下組織の三層構造となっています。このうち、特に美容の観点から注目されているのが表皮です。表皮は、角質層、顆粒層、有棘層、基底層の四層に分かれます。表皮の奥にある基底層では、毎日新しい細胞が生まれ、メラノサイトによって産生されたメラニンを受け取ったり、少しずつ形を変えたりしながら、表面に押し上げられていきます。そして、最終的には、古くなった細胞が垢として皮膚表面からはがれ落ちます。この一連の流れが皮膚の「ターンオーバー」であり、その周期は約6週間です。

 「美容内服セット」は、この間の新たなコラーゲンの生成を強化したり、血流の改善により栄養素を届けやすくしたり、メラニンの産生を抑制したりすることで、皮膚の状態を改善します。そのため、効果を得るためにはターンオーバーの数周期分、要するに数箇月の継続内服が必要になります。当院では、より継続しやすいように、1日2回の内服になるように用量を調整しました。

 「美容内服セット」の概要は、以下のとおりです。

 各成分についての解説は、以下のとおりです。

【ユベラ】主成分は、ビタミンEです。
 ビタミンEには、末梢循環の改善作用、抗酸化作用などがあります。美容医療では、しみ、しわの予防目的で使用されます。また、しみや色素沈着の改善については、ビタミンCと相乗効果があります。
 ビタミンEはあらゆる組織の細胞膜に分布しており、欠乏症は起こりにくいとされています。しかし、胆汁の分泌障害などによる脂肪吸収障害や未熟児、遺伝性疾患(家族性ビタミンE単独欠損症)などの特殊な状況では、溶血性貧血や運動失調などの神経症状を生じることがあります。
 ビタミンEは脂溶性ビタミンですが、内服量が800 mg/日を超えない限り、過剰摂取になる可能性はほとんどありません。とはいえ、長期にわたって大量に摂取していると、骨密度の低下や出血傾向を生じることがあります。また、通常の内服量でも、稀に、胃部不快感、嘔気、嘔吐、下痢、発疹を生じることがあります。その際には、すぐに内服を中止してください。

【トランサミン】主成分は、トラネキサム酸です。
 トラネキサム酸には、プラスミンへの抑制効果があります。プラスミンとは、血栓の分解、血管透過性の亢進、メラニン産生の促進などの作用をもつタンパク質です。トラネキサム酸は、このプラスミンを抑制することで、止血薬、抗炎症薬、肝斑治療薬として使用されます。
 肝斑については、数箇月間で徐々に改善が得られるため、内服の継続が重要です。
 副作用として最も多いのは、胃部不快感、嘔気、腹痛などで、頻度は0.1~1%とされています。作用機序からは、血栓症のリスクが心配されますが、分娩後出血の女性や外傷後患者への投与だけではなく、肝斑治療においても血栓症を増加させるという明確な報告はないようです。1,000 mg/日程度の内服での重篤な副作用は非常に稀であり、安全性が高い薬剤と言えるでしょう。
 とはいえ、血栓症を併発するリスクの高い方は、積極的に内服すべきではありません。具体的には、以下のような方が該当します。
・ 生理痛や月経困難症などで低用量ピルを内服中の方
・ 脳梗塞、心筋梗塞、深部静脈血栓症などの既往やリスクがある方
・ 他の止血剤(トロンビンなど)を内服中の方
・ 抗凝固薬(ワーファリン、プラザキサ、リクシアナ、エリキュースなど)を内服中の方
・ 腎機能障害がある方

 御希望の際には、診察時に御相談ください。ちなみに、私自身は継続できないことが目に見えているため、内服しておりません。それですので、私の肌は参考になさらないようにお願いいたします。

 それでは、また!

渋谷神泉こころのクリニック
精神科・心療内科
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