- 2024年5月18日
退職代行の時代
渋谷神泉こころのクリニックです。
数日前の新聞で、第三者の代行サービスによる退職が増えてきているという記事がありました。
労働者人口が減少していく現在、職場にとっても一人一人の職員の希少性が高まり、何としても手放せないという状況になりがちです。代替が少なければその対象への依存度が上がり、代替が多ければ依存度が下がるという点で、依存症の構造にもつうじるものがあります。
ちなみに、依存対象が多いほど、自立度が高まる(特定の対象への依存度が下がる)という考え方は、安冨歩氏の「生きる技法」で詳しく説明されています。
さて、私自身も以前の職場で代行サービスによる退職を目にしたことがありますし、最近では患者様から利用の適否を訊かれることもたびたびあります。
精神科・心療内科を標榜する当院としては、退職代行サービスの利用に問題ないと考えております。
退職時に職場との折衝や衝突が心配されるからこそ、代行サービスを利用しようとの考えに至るわけですから、変にストレスやトラウマを抱えて後々まで引きずることになるよりも、第三者に代行してもらった方が精神衛生上は良いと思うからです。
ただし、退職に際しては、辞意の表明や退職そのものの手続きだけでなく、以下のように退職後の手続きも控えています(しかも、あまり時間的猶予がありません。)。
①住民税の支払い:退職前後
②失業保険の申請:退職後すぐ(雇用保険被保険者証と離職票が必要)
③年金の手続き:退職後14日以内(退職証明書や年金手帳が必要)
④健康保険の切替え:退職後14または20日以内(健康保険の資格喪失証明書)
⑤確定申告:年末までに転職しなかった場合(源泉徴収票が必要)
退職代行にもさまざまな業者がありますので、どのあたりまでサポートしてもらえるのか、予め確認しておくと良いでしょう。
念のために申し上げておきますが、当院では、一律に退職を勧めているわけではありません。復職か転職か、休職しながら冷静に検討するという方針もあり得ます。それですので、あくまでも第三者的な視点から問題を整理し、患者様がなるべく不利益を被らないよう、対話的なサポートを心がけています。
いずれにしても、職場や知人に相談しにくい場合など、当院も御活用いただければと思います。
それでは、また!