- 2024年6月3日
- 2024年6月4日
入院カンファよもやま話④
渋谷神泉こころのクリニックです。
私が勤めたばかりの頃、その大学病院の精神科は独立した病棟をもっていました。他の科のある近代的な17階建ての本館から、長い専用通路を渡った先にある、2階建てで中庭付きの精神科病棟でした。たしか、新南病棟という名称でしたが、実際にはかなり古い病棟で、1階が閉鎖病棟、2階が開放病棟になっており、2階の奥に精神保健福祉士の業務室、作業療法室、当直室、会議室が配置されていました。
この病棟も、私が精神科医になって3-4年目の頃に取り壊され、以降は本館の一部に精神科病棟も移転してしまいましたので、私は以前の病棟を知る最後に近い世代ということになります。
入院カンファは、2階の奥にある会議室で行われており、記憶が曖昧な部分もありますが、会議室のレイアウトや席次は以下のようだったと思います。
会議室は壁面にカルテ棚が置かれ、中には終戦直後からの古いカルテが保管されていました。
安価な長机が四角く並べられ、教授は窓を背に短辺の奥に座ります。その横に医局の重鎮的な役職者が並び、長辺には司会者(だいたい精神科5~6年目の医師)と発表者(ほぼ精神科1~2年目の後期研修医)、反対側には医局のやや若い役職者が座ります。
長辺の後方、カルテ棚の前には黒い革張りのソファがあり、発表前後の後期研修医や学生、反対側は中堅医師や他科からの参加医師(だいたいかなりの役職者)が座ります。
出入口側の短辺には、パイプ椅子などが自由に並べられており、フランクさを売りにする中堅医師や、精神保健福祉士、臨床心理士などが座っていました。
私も後期研修医の期間、ソファに腰掛けながら、発表の順番が回ってくると前のテーブルに移動していましたが、問題はソファの座り心地がとても良かったことです。当時の私は朝6時に起きることを決めていた一方、就寝時刻がだらだらと遅くなりがちで、慢性的に睡眠不足でした。それに加え、会議室のソファがバブル時代のものなのかやたらと快適で、腰と背中が深く沈み込み、全身の筋肉が弛緩してしまうのです。カンファの資料そのものも、所詮は経験の浅い後期研修医がまとめたもので、要領を得ていない上に、文章そのものが読みにくいことが多く、これらの総体がとにかく眠気を高める方向に作用するのです。
入院カンファは1時間程度で終わることがほとんどでしたが、その間、覚醒を維持できたことは、後期研修医時代には数回しかありませんでした。さすがに「目が覚めたら、カンファがすでに終わっており、ただ一人取り残されていた」というようなことはありませんでしたが、これもカンファの終了に伴う雑談、席を立つ音、人の移動による空気の流れなどの刺激で目が覚めただけというのが実態です。
しかし、問題意識は常にありましたので、その後、私は生活や仕事に対する姿勢を見直し、「会議中の眠気」をかなりの程度克服できました。
需要の有無や程度は不明ですが、同じお悩みをお持ちの方もいらっしゃるでしょうから、次回以降にこの対策についても紹介させていただければと思います。
それでは、また!