• 2024年9月26日

新横浜探訪記

 渋谷神泉こころのクリニックです。

 先日、2年ぶりに新横浜に行ってきました。新横浜は、無電柱化された格子状の街並みが美しく、日産スタジアム、横浜アリーナ、KOSÉ新横浜スケートセンター、新横浜公園など、大型施設も多く抱える魅力的な地区です。また、ローカルな施設ではありますが、港北スポーツセンターではパワーリフティングの全国大会が開催されたこともありました。

 私自身は、ラーメン博物館に行くことが多く、同館館長の「ラーメンがなくなる日―新横浜ラーメン博物館館長が語る「ラーメンの未来」」(岩岡洋志著、主婦の友社、2010年)からは多くを学ばせていただきました。同館にはラーメンに関連する書籍を紹介するコーナーもあり、特にそこで知った「ラーメンの語られざる歴史」(ジョージ・ソルト著、国書刊行会、2015年)はとても興味深く拝読いたしました。

 新横浜と言えば、駅ビルであるキュービックプラザ新横浜も有名です。これまで、その8階には三省堂が入っており、立派な医学書コーナーももうけられておりました。私も新横浜に行くたびにお世話になっていたのですが、2023年9月30日に閉店されてしまい、現在は有隣堂が入っています。ほぼ居抜きに近い形でしたが、医学書コーナーは消失し、その分の面積は店内カフェに充てられています。

 新横浜周辺には書店がほとんどないため、有隣堂によってこの地区の文化拠点が維持された形ではありますが、やはり、書店業界には苦しい状況です。私は学生時代、やはり医学書コーナーを目的に、有隣堂の伊勢佐木町本店にもたびたび足を運んでいましたが、同店も縮小傾向にあることは否めません(たしか、昔は渡り廊下でつながる別館があったと思いますが、今は本館だけになってしまいました。)。こうした状況から、有隣堂も現在では書店事業だけではなく、通信販売や複合商業施設の運営など、経営を多角化することで企業としての成長を続けています。逆に言えば、書店事業だけでの存続は難しいということでしょうから、ここにも読書離れの影響が見て取れます。

 やはり、読書そのものがまとまった時間を要求されがちですし、紙媒体の書籍ですと保管にも場所をとりますので、今後も読書や書店の再興は厳しい状況が続きそうです。

 ところで、ロシアではダーチャという郊外の別荘で、1か月程度の長期休暇を家庭菜園を耕しながら過ごす文化があるそうです。「ロシアンパワー養成法(足立弘成著、英知出版、2006年)では、ダーチャでの休暇は、スポーツなどに特化した専門体力ではなく、生活全般に発揮される生活体力が鍛えられると述べられているように、ロシアでは全体として地に足をつけたスタイルが好まれる印象です。このダーチャという空間やその用途は、紙媒体での読書生活の維持に非常に親和的だと思います。

 私も「書庫を建てる: 1万冊の本を収める狭小住宅プロジェクト」(松原隆一郎・堀部安嗣著、新潮社、2014年)にある松原隆一郎氏の別邸兼書庫(下図)のような「ダーチャ」があれば、とこうした生活への憧憬は強いのですが、経済的にも時間的にも実現は不可能です。

 新横浜の話に戻りますと、同地のシンボルの一つである「新横浜プリンスホテル」に松原氏の別邸や「ストックホルム市立図書館」のような円形の書庫空間が何フロアかあれば……、などと夢想してしまいます。実際には、「新横浜プリンスホテル」は円柱というよりも中が空洞になった円筒状の構造なので、これはこれで面白そうですね。

 そういえば、今回は行けませんでしたが、プリンスホテルの地下にある「盤古殿 新横浜プリンスホテル店」、ランチ限定のプレミアム定食が価格を大幅に上回るような贅沢なメニューです。

 とにかく、新横浜に行くと脳が活性化されますね!

 ちなみに、タイトルの画像は隣駅の「菊名」の近くにあるTシャツ専門店「LOOP」で購入した「新横浜Tシャツ」のイラストです。

 それでは、また!

渋谷神泉こころのクリニック
精神科・心療内科
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