• 2024年5月25日
  • 2024年5月28日

育児のお悩みについて①

 渋谷神泉こころのクリニックです。

 最近、育児ストレスで受診される方が続きました。

 精神科病院では、こういった御相談は多くありませんでしたので、やはり、街中の診療所の方が気軽に受診できるということだと思います。

 育児に関するお悩みは、受診される養育者だけではなく、そのお子様にも間接的ながらもお役に立てる可能性があることから、当院としても非常にやりがいのあるテーマだと考えております。

 まず、大前提として、時代や環境は絶えず変化しており、個々人の身体的・生来的な特性にも差異がありますので、「育児には絶対的な正解がない」という理解が大切だと思います。つまり、一律に同じ方向性で、同じように能力を伸ばそうとする方針そのものに無理があるということです。

 また、養育者の設定した目標が、お子様の将来に有効に作用するのかどうかもわかりません。特定の状況に過剰適応した結果、状況の変化に適応できなくなることがあり得るからです。

 特に幼少期は、発達や発育の指標が月齢単位で示されるため、その達成時期の遅速で一喜一憂しがちですが、所詮は誤差の範疇にあることがほとんどです。

 定型的な知識や技能を、可能な限り早い時期に習得させるために躍起になるよりも、変化に適応できる「あそび」や「余裕」を保つ方が重要です。また、養育者の精神的な安定や余裕は、お子様の精神衛生に大きく寄与します。

 最近は特に状況の変化が著しく、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の単語の頭文字から、VUCAの時代にあると言われています。

 精神科での治療方針としては、こうした状況への不適応がみられた際に、精神療法や環境調整で対応します。この考え方は、育児に関しても基本的には同じです。

 育児に関しては、あまり気負わず、のんびりと取り組まれる方が良いかと思います。

 御自身の育児にお悩みの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度お気軽に御相談ください。

 それでは、また!

渋谷神泉こころのクリニック
精神科・心療内科
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