• 2024年5月30日

入院カンファよもやま話①

 渋谷神泉こころのクリニックです。

 先日の記事で、入院カンファ(;入院患者の症例検討会、入院患者に関するカンファレンスといった意味)について触れました。当時の記憶が蘇ってきましたので、今回はそれに関する雑記です。

 私が研修した大学病院では、毎週火曜日の 08:30 から、病棟の会議室で前週に入院された患者様についてのカンファがありました。

 まず、担当医が病歴要約を配布し、それを音読します。次に、質疑応答があり、そこでさまざまな視点からの質問が寄せられます。答えられないと全員の前で叱責、罵倒されることもある恐ろしい時間です。

 私はかなり資料を作りこむ方で、配布するA4用紙1枚のものとは別に、さらに詳細な病歴や治療歴のほか、疾患そのものについての資料なども準備して、いわば完全武装でカンファに臨んでいました。しかし、質問に完璧に答えられることが良いかというと、必ずしもそうではないことが徐々にわかってきました。どうも一部の指導医は、担当医が回答に窮するまで質問する必要があると思っている節があり、準備すればするほどよくわからない質問が飛んでくるようになるのです。これは、当該指導医が退職しても、別の指導医が似たような役割を担うようになるため、構造的な問題なのでしょう。

 途中、あえて病歴からいくつかの情報を省略し、質問をそれに関するものに誘導しようとしたこともありますが、結局は担当医が沈黙するまで「質問のための質問」が飛んでくるだけで、この「カウンター作戦」はすぐに頓挫しました。

 そういうわけで、入院カンファの本来の目的は、入院患者様の診断及び治療方針の共有や検討なのですが、実際には、一部の指導医の「担当医(下級医)に対する序列の刷込み」、「指導医間での知識の披歴競争」、「格付行為をつうじたストレス解消や承認欲求の満足」などの場にもなっていたように思います。

 私自身は、こうしたことも含め、全体としては良い経験だったとプラスにとらえています。

 ちなみに、こういう場でそれほど糾弾されずに済むのは、「え~、わかりませぇ~ん」などと最初から回答努力を放棄する担当医です。これも、あまりやりすぎると、まじめな医師から説教されますが、「入院カンファの本質」を見抜いた適応様式ととれなくもありません。

 入院カンファでお困りの方がいらっしゃいましたら、是非お気軽に御相談ください。
 (※)ただし、診療科はもちろん精神科・心療内科限定です!

 それでは、また!

渋谷神泉こころのクリニック
精神科・心療内科
03-6427-0555 ホームページ