老年期の問題とは
老年期の問題として、認知機能の面で代表的なものがもの忘れです。また、身体的な面からは、複数の生活習慣病の併存やそれに伴う処方の多剤化、心身の全般的な機能の低下(フレイル)、運動器の量的、質的な機能の低下(サルコペニア、ロコモティブシンドローム)などが挙げられます。
もの忘れについては、出来事の細部(朝食のメニューなど)を思い出せないものは、単なる加齢性の変化に過ぎないことがほとんどです。しかし、出来事そのもの(朝食を摂ったかどうかなど)を思い出せなかったり、忘れているという自覚に乏しかったりする場合は、認知症が疑われます。
老年期の問題としてよくみられる症状
- 「認知症」
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- 物の名前を思い出せなくなった
- しまい忘れや置き忘れが多くなった
- 物事を判断したり理解したりする力が衰えてきた
- 財布や携帯電話など、大切な物をよくなくすようになった
- 時間や場所の感覚が不確かになってきた
- 何度も同じことを言ったり、聞いたりするようになった
- 慣れている場所なのに、道に迷った
- 薬の管理ができなくなった
- 鍋を焦がしたり、水道を閉め忘れたりが目立つようになった
- 同じ料理ばかり作るようになった
- など
- 「フレイル」
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- 疲れやすくなった
- 活動量が減った
- 筋力が低下した
- 動作が遅くなった
- 体重が減った
- など
- 「サルコペニア」・「ロコモティブシンドローム」
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- 頻繁につまずいたり、転んだりするようになった
- 歩くスピードが遅くなった
- 青信号の間に横断歩道を渡りきれないことが増えた
- 15分程度の徒歩が難しくなった
- ペットボトルのキャップが開けにくくなった
- 階段で手すりにつかまることが増えた
- ふくらはぎや前腕が細くなった
- 片脚立ちで靴下がはけなくなった
- 2 kg程度の買い物で、持ち帰りが難しくなった
- など
治療について
老年期の問題に対する治療は、原因となる疾患や患者様の状態によって異なります。
認知症の可能性が高ければ、「抗認知症薬」を用いることもありますが、やはり認知機能の低下を周囲が補えるような支援体制を構築することが重要です。
また、複数の医療機関からさまざまな処方を受けている場合、一部、作用の重複や対立がみられたり、副作用で認知機能をさせるものが含まれていたりすることがあります。この場合、処方薬全体の見直しが必要です。
フレイル、サルコペニア、ロコモティブシンドロームなどの全般的な身体機能の低下に対しては、リハビリテーションを活用することが重要です。
いずれにしても、老年期の問題はいろいろな要素が複雑に影響しあっていることが多いため、個別の対応が求められることがほとんどです。
まずは一度、お気軽に御相談ください。