• 2025年2月18日

季節性感情障害について

 渋谷神泉こころのクリニックです。

 季節性感情障害という疾患を御存じでしょうか。

 秋冬に抑うつ状態に陥り、春夏に軽躁状態を呈するなど、季節性に気分が変動する方がいることは、かなり以前から知られていました。冬季に抑うつ状態になる例が多いため、「冬季うつ病」という名称の方が一般的かもしれません。

 1984年、アメリカの精神科医であるローゼンタール博士らが、29例の冬季うつ病の症例を示し、これらを季節性感情障害と命名しました。その本態が、うつ病の一種なのか、双極性障害の一種なのかは明確ではなく、長期予後に関する知見も十分ではありません。しかし、以下の特徴があり、双極性障害の一種として認識されることが多いようです。

【冬型季節性感情障害の特徴】
 ① 女性に多い(男性:女性=1:4)。
 ② 高緯度地方に多い。
 ③ 発症年齢が20歳台前半と若い。
 ④ 双極性障害Ⅱ型(軽躁状態と抑うつ状態)が多い。
 ⑤ うつ病や双極性障害の家族歴があることが多い。

 また、季節性感情障害(特に冬型)の抑うつ的な時期には、以下の特徴を伴いやすいとされています。不眠、食欲低下、体重減少が季節性の変動なく遷延しがちな、典型的なうつ病と対照的な特徴です。

【冬型季節性感情障害のうつ病相の特徴】
 ①過眠(睡眠時間の延長)。
 ②過食(特に炭水化物や甘味の摂取欲求の亢進)。
 ③体重増加。
 ④10月頃から抑うつ的になり、3月頃から改善、7月頃には回復または軽躁状態を呈する。

 こうした季節性の変動は、健常者のもつ生体リズムの延長線上にある自然な現象と考えられる場合もなくはありません。しかし、毎年のように冬季に重篤な抑うつ状態に陥ったり、症状としては軽度であっても社会生活に支障を来したりする場合には、やはり治療が必要です。

 気になる方はお気軽に御相談ください。

 それでは、また! 

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