• 2024年6月17日

肥満による膝関節への影響について

 渋谷神泉こころのクリニックです。

 先日、友人から膝関節痛の相談を受けました。

 彼は、高校時代に柔道部で活躍し、81 kg級でインターハイにも出場、その際の体脂肪率は8%程度、高校生ながらベンチプレス130 kg 程度、フルスクワット 200 kg 程度の筋力を誇り、得意技は組手での優位を築いてから高精度で繰り出される背負投でした。身長は171 cmと平均的ですが、骨格は頑健そのもので、怪我もほとんどなく、「柔道部物語」という漫画で例えると、西野新二の肉体に三五十五の技術といった印象の選手でした。

(※)柔道部物語(小林まこと);指導者、友人、才能に恵まれた主人公(三五十五)が、不利な状況下で重ねられた創意工夫によって得た絶対的な強さを誇るライバル(西野新二)を打倒するというあらすじの柔道漫画。小児期逆境体験をもつ西野新二の回復の物語としても読める色褪せない名作。

 40代に突入した現在、彼の体重は 83 kg、BMI(体重を身長の2乗で割った数値)は 28.4 kg/m2、肥満に相当する数字です。過去には97 kg (BMI 33.2 kg/m2)の時期もあったとか。大きな怪我もなく、頑健な骨格であっても、過剰な体重は加齢とともに膝関節に影響するようです。

 下図は少し古い報告ではありますが、BMI が25 kg/m2を超えると、50歳以降で如実に膝にくるというデータがあります。

 身長171 cmの彼の場合、まずは食事制限による減量でBMI 25 kg/m2 以下(体重73 kg以下)になることが必要かと思います。減量速度は、無理のない食事習慣の形成という意味もこめ、1.0 kg/月程度が妥当でしょう(それでも12 kg/年になりますので!)。

 同じようなお悩みをおもちの方にも参考になれば幸いです。

 それでは、また!

渋谷神泉こころのクリニック
精神科・心療内科
03-6427-0555 ホームページ