- 2024年8月2日
精神科診療に関する雑記
渋谷神泉こころのクリニックです。
精神科は他の診療科と比べて、やや変わった印象をもたれがちです。それは、精神科で相談される「精神症状」が、さまざまな次元の問題によって生じているからでしょう。さまざまな次元というのは、古典的には、身体疾患に伴う精神症状や薬物の副作用として生じる精神症状は「外因性」、おそらく脳内の神経伝達物質の機能不全によって生じる精神症状は「内因性」、心理社会的負荷と本人の対応能力や特性との差異によって生じる精神症状は「心因性」に大別されます。これらは、表面的には同じような精神症状を呈していても、原因が異なるため、治療法も異なります。
この点を見誤ると、治療が難航することになりかねません。
精神科だけではなく、仕事や人間関係にまつわる問題でも、それらの原因がある次元を取り違えると、解決が困難になってしまいます。
このような問題の理解には、「戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか」 (菊澤研宗著、光文社新書、2009年) が良い教科書になると思います。
また、複数の次元での問題が重畳していることもあるため、その介入方法を階層的に考察することも必要です。これは 「世界を変えたいなら一度”武器”を捨ててしまおう」( 奥山真司著、フォレスト出版、2012年) が参考になるのではないでしょうか。
何事も、隣接領域の知見も参考にすると、専門分野の理解もより立体的になるのではないかと思う今日この頃です。
それでは、また!