• 2024年6月12日

愛着障害について②

 渋谷神泉こころのクリニックです。

 愛着のスタイルについて、成人のものは愛着に関する「不安」と「回避」の程度による分類が知られています。また、乳幼児期の愛着タイプと成人後の愛着スタイルには、2/3ほどの一致がみられるようです。

 愛着に関する「不安」は、重要な他者から拒絶されたり、見捨てられたりすることへのおそれで、対人関係への無意識的な信頼の程度を反映しています(下図では、これを他者への信頼 ⇔ 猜疑として縦軸で表現しています。)。

 愛着に関する「回避」は、他者からの支配や干渉を受けることへのおそれで、対人関係への無意識的な積極性の程度を反映しています(下図では、これを対人関係への積極性 ⇔ 回避性として横軸で表現しています。)。

 さて、成人の愛着スタイルは、「不安」と「回避」の要素により、以下の4つに大別されます。

 ①安定型(autonomous-secure);対人関係に関する不安も回避も弱く、一定の自己肯定感があり、他者にも尊重的、対話的に接することができる。
 ②固執型(preoccupied);対人関係に関する不安が強い一方、回避は弱い。そのため、他者からの評価に囚われやすく、見捨てられることへのおそれが強い傾向がある。
 ③軽視型(dismissing-avoidant);対人関係に関する不安が弱い一方、回避が強い。そのため、他者から傷つけられるのではないかという恐れは少ないものの、対人関係そのものは最小限にとどめる傾向が強い。自身に関しては肯定的に評価する一方、他者を頼ることには抵抗がある場合が多い。
 ④未解決型(fearful-avoidant);対人関係に関する不安も回避も強く、こうした対人不信から孤立しやすい傾向がある。

 とはいえ、これらも程度の問題ですので、あくまで傾向としてとらえることが重要です。

 愛着障害について短くまとめることは、なかなか難しいのですが、御興味をおもちの方は小林桜児氏の著書も参考になるかと思います。

Amazon.co.jp: 人を信じられない病 信頼障害としてのアディクション : 小林桜児: 本

 それでは、また!

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