• 2024年7月25日

わが国の人口減少と高齢化について

 渋谷神泉こころのクリニックです。

 令和6年(2024年)7月24日(水)、総務省が、住民基本台帳に基づく今年1月1日時点の人口を発表しました。それによりますと、日本人の人口は1億2156万1801人で、前年より86万1237人(0.70%)減ったとのことです。

 さまざまな新聞でも取り上げられており、NHKのネット記事でもかなり詳細に解説されています。

日本の人口は1億2488万人余 去年より約53万人減 2024年1月1日現在 令和6年 外国人は過去最多 初の300万人超 | NHK | 総務省

 河合雅司氏が2017年に著した「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること」では、2024年にみられる重要な出来事として、少子高齢多死社会の到来が、以下のように予測されています(()内は私の補足です。)。

「2024年の日本の人口は、2015年(1億2709万4745人)よりも390万人ほど減る(→約1億2320万人。)。その一方で75歳以上は490万人ほど増え、約2121万人を数える。65~74歳を含めると、高齢者全体では約3677万人に達する。国民の3人に1人が65歳以上、6人に1人が75歳以上となる計算だ。毎年の死亡者数は150万人を超え、出生数の2倍になる――それこそ人類史上において経験したことのない「超・高齢者大国」の出現である。」

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 総人口に関しては、すでに2017年の予測よりも165万人程度下回っております。また、2023年の死亡者数は157万9727人と過去最多、出生数は72万9367人と過去最少で、その比はすでに2倍を超えています。外国人の人口が増えてきてはいますが、総人口の減少を補えるほどではなさそうです。

 同じく河合雅司氏の「未来の年表2 人口減少日本であなたい起きること」では、このような高齢社会では「オフィスが高年齢化し、若手の労働意欲が下がる」ことへの危機感も述べられています。

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 何しろ、2017年時点でも労働人口の中央年齢層が40代と、高齢化が進んでいる様子がみてとれます。

 当院に仕事のストレスを理由に受診されるのは、25~26歳の若い方がかなり多いのですが、これもこうした職場での閉塞感や世代間での価値観の相違に起因している場合が少なくありません。私が以前に勤務していた精神科病院でも医師の高齢化(と一部の怠慢化)が顕著であり、こうした職場では若手の労働意欲も早々に低下しがちでした。ちなみに、当時の私自身は中間管理職的な立場でしたが、「最近の若い者は……!」と若手の資質に憤るよりも、そうなってしまう構造に目を向ける方が生産的だと考えておりました。

 今後は、企業においても、こうした年齢構成の変化と、それに伴うモチベーションや生産性の改善がますます重要になってくることでしょう。

 それでは、また!

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