• 2024年8月14日

パリ五輪に関する雑感⑥

 渋谷神泉こころのクリニックです。

 最近はさまざまな場面でメンタルケアの重要性が強調されるようになってきました。2021年7月27日、シモーン・バイルス選手(米国)が「自分の心の健康に集中しなくてはならない。」と東京五輪の体操女子団体決勝を途中棄権したことを契機に、アスリートのメンタルヘルスへの注目も高まってきたと思います。

 今夏のパリ五輪では、選手のメンタルヘルス(心の健康)に関する取り組みとして、選手村に精神面をケアするスペースが設けられたそうです。具体的な活動内容やその成果は、まだ詳細に報告されていませんので、今後の報告を待ちたいと思います。

 「スポーツ精神医学 改訂第2版」( 日本スポーツ精神医学会編集、 診断と治療社、2018年)という書籍が発行されているように、わが国の精神科領域でもこの分野の関心がもたれています。

 それにしても、アスリートには、さまざまな次元での重圧がかかっていると思います。より具体的なものとしては、競技成績をいかに維持・向上させられるかというものがあるでしょうし、やや抽象的なものとしては、競技者としての活動をいかに全体的な人生につなげていけるか、換言すると、引退後にいかに生活を維持していくかというものもあるでしょう。ある程度の楽観的な将来像が描けていなければ、必然的に競技成績に固執せざるを得ず、それによって自己肯定感が上下しやすくなるというリスクも高まります。これはアスリートに限った話ではありませんが、やはり、今取り組んでいる活動が、人生においてどのような位置づけで、どのような意味をもたらすのか、より大局的に眺める視点も必要だと思います。

 こうした視点からは、「世界を変えたいなら一度”武器”を捨ててしまおう」(奥山真司著、フォレスト出版、2012年)が参考になると思います。以下に、競技における日々の練習に関する階層を個人的にまとめてみました。

 また、日々の生活態度や競技への取組みに関しては、「大谷翔平の成信力 私が高校時代に伝えた、夢が必ず実現する「脳活用術」」(西田一見著、清談社Publico、2024年)も参考になるかと思います。

 それでは、また!

渋谷神泉こころのクリニック
精神科・心療内科
03-6427-0555 ホームページ